告白もさせてもらえなかったな
半年間していた片想いが終わった。
彼のことは結局のところあまり知らないまま、
知りたかったけど知らないまま終わった。
彼は私にとって初めて自分から好きになった人だった。
職場が一緒だったから、彼の居そうなフロアで私はしょっちゅう周りをキョロキョロ見渡して、一言でも話そうものならバカみたいに赤くなって、その日１日が幸せで素敵な日になっていた。
２日連続で話せた日なんて、幸せ過ぎて逆に恐怖すら覚えていたな。
彼のなにが好きだったかなんて私には分からない。
お洒落さんなところ。
一生懸命喋るところ。
誰に対しても丁寧なところ。
一重に涙袋の大きい目。
それらしいものはいくつか挙がるけど、どれも決定打には程遠い。
じゃあなんで好きになったのか。
そもそもよく知りもしないのに好きなのか。この感情は好きと言えるのか。
分からない。分からないけど。
一回だけ職場から一緒に帰った帰り道の距離感を、まだ私は忘れられない。
一回だけごはんを食べに行ったあの街、あれから行けなくなってしまったよ。
あなたの最後の出勤日にはね、花束を渡せたらと思っていたんだよ。
きっと、あなたは喜んでくれるだろうな
どんな色が好みかな
家にスワッグとか飾ってそうだし…
そんなことを思いながらお休みの日にお花屋さんをいくつか回って、下見をして。
でも全部全部無意味だったね！
会ってもくれなかったな。
そう、最後に会ってね、花束を渡して、お疲れ様でしたとありがとうと頑張って下さいを伝えて、
好きでしたって本当は伝えたかった。
今更、何を言っても遅いけど。
エレベーター前で交わした「お疲れ様です」
あの言葉が最後になるなんて、なるなんてさ、思わなかったよ
もしかしたら嫌々一緒に帰ってくれたのかもしれないし、
嫌々ごはんを一緒に食べてくれたのかもしれないし、
単に私に興味が湧かなかったのかもしれないし、
それとも私、なにかやらかしちゃった？
服ダサかったかなあ
言葉遣い荒いしな
笑い方下品だったかな？
ごはん緊張してあんまり食べれなかったのもまずかったのかもな…
考え出したらキリがなくてさ、
夜な夜な一人反省会を毎晩開催してたけど
もうそれも次がないなら意味がないよね
答え合わせもできないじゃんか
うじうじ考えてて、気が付いたら丸々１ヶ月以上経ってしまった。
まだ考えてしまうけど、
いつか、そんなこともあったなあ、なんてその辺に転がってるようなありふれた思い出にしたいし
好きだった自分を肯定してあげたいし
好きとか恋とか、はたまた愛とかそんなんじゃない
あなたが生きる理由だよ、って言えるくらいの男を見つけるために、私は明日も生きる。
あーあ！！
告白もさせてもらえなかったな！！
